Pomme Juice

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ハムスター篠原

今日、夕御飯を作る気になれなれず、でもこれからは節約しようと決めたところだったので家の近くのサイゼリヤに行った。

初めて入った店内は思いのほか広々としていて、そしてその割には店員さんが足りていないようで、忙しく空気が動いていた。
私はヘンテコなグリーンの椅子に座って小エビと完熟トマトのリゾットを頼み、ドリンクバーのアップルティーでほっとしながら、例のごとく江國香織を読んだ。

『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』

山本周五郎賞とやらを受賞したらしいのだが、私が好ましいと思う類の作品ではなかった。
直木賞受賞作の『号泣する準備はできていた』を読んだときも思ったのだけれど、専門家の考えることはわからない。
お気楽なハッピーエンドというカタチの芸術に気付かない陰気な堅物たち。

私が注文した赤いリゾットは、過剰にふりかけられたドライパセリが赤を引き立たせるというよりはどんよりとした色調を作りだしていて、ひどくあやふやな味がした。

致し方ない。
ひと息ついてデザートを頼むことにした。

ハムスターみたいな男の店員さんがやってきた。
「篠原」と書かれたネームプレートを付けていた。

私がどれにしようか少し、ほんの少しなのだけれど迷っていたら、
「ティラミスおすすめっスよ」
と教えてくれて、今までファミレスでこういう接客を受けたことがなかったから、
私はとてもびっくりしてしまった。
でもそれと同時になんだかとてもうれしくなってしまったので、
「じゃあ、ティラミスお願いします」
と頼んだ。
ホントは生チョコレートケーキとトリフアイスクリームで迷ってたんだけど、
良いお客さんぶって。

ハムスターはお皿を片付けたり、オーダーをとったり、テーブルを力強く拭いたりしていた。あまりに力強く拭くので、どこかの修行僧が雑巾がけをしてるみたいでおかしかった。

ティラミスはおいしかった。
正式にはアイスティラミスという商品名で、ビスケットの上にティラミス風のアイスクリームがのっかったケーキだ。
本当がどうかわからないけど「本場イタリアの濃厚な味わい」で。
口の中でもはっきりとこっくりとしたクリーム色なんだとわかるアイスがなめらかに溶けて。

デザート皿を下げにまたハムスターがやって来て、
「どでしたか?ウマかったですか?」
と不適切だけど彼にぴったりの敬語で聞かれたので、
「おいしかったです」
と答えたら、
ほっとしたような満足げな誇らしげな笑顔をしていた。

私はその後カモミールティーを飲みながらぼーっとしていた。
私が思うに篠原くんは高校生か、もしくは高校卒業したてのフリーターだ。
子供のお客さんと楽しそうに話して、しかもその子の頭をぽんぽんとしたのをみて、その光景があまりに可愛くて、すごくすごく幸せになってしまった。

私はそれに浸りながら、しかし冷めないうちに、と余韻に浸りながら店を出ることにした
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